【学生向け】新版|レポート作成の手順とポイントについて
私のWebサイトではこれまで何度もレポートの書き方について記してきました.
これは基本的には,私が務める大学の学生に向けて書いてきたものです.
この記事の成果があったのかは分かりかねますが,今後学生たちがより質の高いレポート,
すなわち主張が適切に整理され言語化されたレポートを作成できるように,改めてのその手順とポイントを整理したいと思います.
1.きちんと構成(章立て)を考える
「◯◯について整理しなさい」などのテーマに対して,何の準備もなく一気に書こうとすると何が言いたいのかよくわからない文章になります.
テーマについて述べるためには,レポート全体をどういう流れ(ストーリー)で書くか考えてから始めると良いでしょう.
ちなみにこの考え方は論文(投稿論文でも学位論文でも)重要になります.
また構成だけではなく,焦点化も重要です.テーマから逸脱するのは論外ですが,テーマの中に収まっていれば良いわけですから,
論点を絞って書いていくとまとまりのある文章になると思います.
2.レポートは出して終わりではない
以前の記事にも書きましたが,レポートは提出して終わりではありません.
提出したあと読まれて評価されて初めて終わりになります.
つまり読み手(ここでは大学の教員)の存在を忘れてはいけません.
なぜ先生はこの課題を出したのか,先生は授業の中で何がポイントと言っていたか,と言った具合に授業の中にレポート作成のヒントは散らばっています.
そもそも課題は,授業の内容の理解度を評価する側面があります.
授業の内容が理解できている(先生が何を話ししていたかを覚えている)のであれば,おそらく容易に書けると思います.
レポートは読まれて評価されて終わりという点に関連していうと,当然ですが読まれなければ評価されません.
レポート課題は必ず期限内に提出しましょう.もし何らかの理由(昨今であれば新型コロナ感染症)で期限内の提出が難しいのであれば事前に連絡しましょう.
さらに関連していうと,大学の教員はたいていの場合,論文を書くことを生業としています(そうでない人も少なからずいますが).
私もそうですが,常日頃から文章に浸っているタイプの人間です.
そのような人間からすると,おかしな表現や他の学生と重複する表現はすぐに気付きます.
不審に感じた論文はしっかりチェックしますが,経験上,そのほとんどがコピペ(他人やWeb記事)です.そうなるとそのレポートの評価は限りなく低いものになるのは自明です.
3.言葉を尽くして書く
学部生のレポート見ていると,文字数が少ないことが気になります.
文字数は多ければ良いというものではありませんが,少ないと説明が不十分で,内容によっては何について書いたのか全く理解できない場合もあります.
文字数の制限がない(あるいは多い)のであれば,しっかりと説明することができます.
イメージとしては,自分の専攻分野を全く知らない地元の友達や家族が読んでもわかるように丁寧に(ときには冗長に)書くくらいがちょうどいいのかもしれません.
4.引用をしっかりする
引用がないというのも非常に気になる点です.
引用の量が多くなると,それはそれでオリジナリティに欠ける文章になってしまいますから,全体の量に対して一定程度にとどめておく必要はありますが,引用は重要です.
授業の中で引用の仕方については説明していますが,それでも少ない人や出典を示さない人がいます.
論理的に文章を書いていくためにも引用は必ず行いましょう.
5.自分の日本語を見直す
最後に,いつも言っていることですが,日本語の使い方には注意が必要です.
日本語の書き言葉と話し言葉は異なります.普段,お話しするのに使っている表現は文章を書く際に使えないことが多々あります.
それを理解せずに書いていると,非常に稚拙な文章になります.
話し言葉では時折主語が省略されることがあります.書き言葉で主語を省略した(意識しない)まま使うと,何が何だかよくわからない文章になっていまいます.
自分の言葉遣いを見直すことは良いレポートを書く基礎かもしれません.
またよくあるのが句読点の使い方です.
基準がある分ければありませんが,だいたいひとつの文章は長くても60字から80字程度でしょう.100字を超えてくるのであれば2つの文章に分けるべきです.
※固有名詞の文字数が多い場合はその限りではないです.
イメージとして,30字30行のファイルで文章を書くとき,文章は2行を超えないようにしましょう.3行にまたがると長い文章です.2つに区切りましょう.
「ひとつの文章でひとつの主張」ということを念頭に置いて書くと良いでしょう.
以上5つのポイントを示しました.
これらのポイントに気を付けて,より質の高いレポート作成を目指してください.