【学生向け】レポートの書き方講座
私の授業,特に保健体育科教育論Ⅰではレポートの提出を求めています.
大学ではレポートを書く機会が多いと思いますが,保健体育科教育論Ⅰで提出されたレポートをみると,内容はもとより書き方について十分に理解していない学生が多くいることに気が付きました.
そこで,この記事では,大学生に必要な「レポートを書く技術」について整理して,レポートを書くときに重要になる「作文の作法」や構成方法,言葉の使い方などを具体的な例を示しながら整理したいと思います.
chapter1.「レポートとは」
そもそもレポートとは何でしょうか?中学校や高校までの作文と何が違うと思いますか?
「レポート」を簡単に説明すると,「学習活動の記録」「学びの記録」と言えるでしょう.
例えば,ポケモンのゲームではいわゆる「セーブ」のことを「レポート」としていますね.これは第一作目の赤・緑verから使われています.
この場合,「レポート」とは「ゲーム内の活動の記録」という意味で受け取れます.
授業におけるレポートもこれと同様の意味で受け取ってもらって構いません.
つまり,「授業内の学習活動の記録」という意味です.
まず基本的な位置づけについて理解しておくことは,よいレポートを書く上では大切です.
このことは前提として肝に銘じておきましょう.
chapter2.「基本的な書き方」
基本的な位置づけについて整理できたところで,実際にどのようにして書くのかが問題になります.
私の授業の中で出題されるレポートには大きく2種類あります.
ひとつは具体的なキーワードが示されたうえで,それを整理・説明するものです.
これは,書き方としては比較的簡単で,提示されたキーワードがどのようなものなのか解説をすることから始めます.
その上で,キーワード同士がどのように関連付けられるか,キーワードが出現した背景にはどのようなものがあるのか,などキーワードの周辺事項を整理していきます.
もうひとつは,抽象的なテーマについて自身の考え・意見を述べるものです.
これは自分自身で構成を考えて,抽象的なテーマについての回答を文章で述べる必要があります.
構成については,様々な言葉で表現されます.例えば,最もポピュラーなものは「起承転結」ではないでしょうか.この他にも「序破急」や「PREP(結論ー理由ー根拠ーまとめ)」というようなものもあります.いずれにしても,問題提起に続いて論を展開し,まとめにもっていくという流れになります.
いずれの書き方でも重要になるのは,自身の主張について,文献(書籍・論文)やWebサイトを引用して根拠を示すことです.
単に「あなたがそう思っているだけ」,ということについて特に意味も価値もありません.
例)私は○○という点に問題を感じている.この問題は××が2010年代から指摘している.
というように,簡単でもいいので,自分の主張を強化するような根拠を示しましょう.
もっとも,その根拠が確からしいかどうか,質まで見極める必要がありますが,これについては修士の学生以降に求められる力なのかな,と思います.
chapter3.事実と主張
さらに重要なこととしては,事実と主張を分けるということです.
事実とは,客観的なデータに基づいて明らかになっている事柄を指します.例えば,「仙台藩を治めたのは伊達氏である」というようなものが「事実」となります.
この場合,断定する形「○○である」「○○であった」で示します.
一方の主張は,あなた自身もしくは,誰かの考えを指します.例えば,「柔道家はたくさんお酒を飲む」といったものは事実ではなく「主張」となります.
確かにたくさんお酒を飲む人もいるでしょうが,これはあなた自身もしくは誰かの主観に基づく主張・感想となり,そこには何の客観性もありません.
このように「事実」と「主張」をしっかり区別して書くことがレポートを作成するうえで重要になります.
chapter4.その他の注意事項
ここまでに記した以外にも,レポート執筆時には注意してほしいことがあります.
それは箇条書きにしないということです.
レポート課題を課すと,一定の割合で,授業で私が話した内容を箇条書きにして提出してくる学生さんがいます.
これはレポートではありません.箇条書きからは,あなた自身が何を学んだのか,判断できません.
授業で学んだことを表現できない以上,そのレポート(とは言えないもの)を評価することは出来ず,最低評価とせざるを得ません.
そうすると,単位の取得も困難になると思います.
上で書いている通り,自分の学びの記録をしっかりと残す努力をしましょう.
さらに言うと,レポートのクオリティが非常に低い学生さんも見られます.具体的にいうと私が授業で使ったスライドの言葉を意味も分からず記入している人がいます.
明らかに言葉の使い方が誤っていたり,私がスライド上で間違って示した部分がそのまま使われていたりします.
スライドは私がひとつひとつ作っていますので,その言葉を使った場合は簡単に見抜くことができます.
「学び」は真似ることから始まりますが,この場合は盗作や剽窃(パクリ)と言わざるを得ません.
自分の言葉で表現するよう,努力をしましょう.
最後に誤字脱字です.
私も度々誤字脱字をするので,人のことを言えたタチではありませんが,それにしても目に余る人が少なからずいます.
レポートをはじめ,課題は採点者(教師)に提出して終わりではなく,採点者によって採点されて初めて終わりを迎えます.
みなさんは提出することに注力してくれていると思いますが,「評価される」ということを少しおざなりにしているように感じます.
よい評価が欲しいのであれば,誤字脱字を含めて,採点者の印象が良くなるような書き方をしてほしいものです.
Conclusion
ここまでまとめてきましたが,いかがでしょうか.
文章ばかりで理解しにくかったかもしれません.
しかし,よい評価を獲得し,単位を取得するためにもぜひ頭に留めておいていただければと思います.
皆さんの健闘を期待します.