【学生向け】指導案で明記すべきポイントまとめ!

私が担当する授業では,学生の皆さんに指導案の作成を課題として課しています.
多くの学生さんが真剣に取り組んでくれていると思いますが,授業でのお話だけではなかなか「伝わりきっていないな」と感じることも増えてきました.
また,1年生や2年生など比較的早い段階でより深く学習したいという学生がいる中で,対応できていない実態もありました.

そこで,Webサイトに基本的な事柄を整理しておくこととしました.

私の授業の確認をしたい人,2年生以降の学びを先取りしたい人,あるいは教育実習中に困った人などの参考になれば幸いです.

Chapter0.指導案に決まった様式はない!

まず,前提として指導案(授業計画)に決まった様式というものはありません.
実際には,自治体や大学ごとに様式があり,それに従って作成することが求められます.

ですので,学生の皆さんにおいては,授業の中では,先生が提示する様式に沿って指導案を作成すれば良いと思いますし,
入職してからはその学校や自治体の様式に沿って指導案を作成すれば良いと思います.

とはいえ,どこの指導案様式でも記入されるべき内容がありますので,以下ではそれを整理していきたいと思います.

 

Chapter1.単元について

1単位時間の指導案を作成するとしても単元のことを明確に整理しておく必要があります.
この授業はどの単元に属するのか,何時間単元の何時間目に位置づくのか,単元の目標は何か,評価規準はどういうものかなど,
単元という授業のまとまりがどのようなものかを整理しないと,1単位時間という最も解像度の高い計画を立てることはできません.

したがって,まず記すべきことは単元の名称/テーマです.
次いで,単元の目標を記します.なお目標は,新しい学習指導要領の”育成すべき3つの資質・能力”といういわゆる”3つの柱”に則して設定される必要があります.
3つの柱とは,次のとおりです.

①知識および技能
②思考力・判断力・表現力等
③学びに向かう力・人間性等

目標に続いて,単元計画を記します.
単元の各時間のテーマは何か,各時間で何を扱うのか,詳細でなくても構わないので,予め単元の流れを整理しておく必要があるでしょう.

最後に評価規準を記します.
「評価規準」とは「授業後に学習者になっていてほしい理想の姿」のことを指します.
つまり,目標と対応している必要がありますが,ここで注意しなければならないのは評価の観点は”3つの柱”に対応しているものの,『言い回しが変わる』という点です.
”3つの柱”に則した評価の観点とは次のとおりです.注意しましょう.

①知識・技能
②思考・判断・表現
③主体的に学習に取り組む態度

これら,単元に関することを明確に記すことから,1単位時間の指導案つくりが始まります.

 

Chapter2.学習者と教師について

授業は,当たり前ですが,教師と学習者が参加します.そのため目の前にいる学習者はどのような学習者なのかを整理する必要があります.
つまり,学校種はなにか,何年生か,クラスの雰囲気はどうか,学習状況はどうかといった情報です.
例えば,中学校1年生と高校2年生では発達段階が全く違います.そのためクラス内の雰囲気や人間関係も変わってくるでしょう.
目の前の学習者がどのような性格なのか,教師として日々の関わりのなかで感じ取れる彼らの情報を言語化して整理することは重要です.

加えて,教師自身のことも整理する必要があります.
授業を実施するにあたって,どのような考えで授業に臨むのか,教師として当該教科および当該教材をどのように考えているのか,指導案を作成する時点での教師自身の思考を整理することで,
のちの反省材料にもなりますし,後輩の学びにも貢献します.

授業に参加する人の特徴を客観的かつ具体的に言語化して整理することは,とても大切なことです.

 

Chapter3.本時の目標・内容・方法・評価

ここが指導案の肝になるところです.
まずは,当該授業の目標を記します.ここでは単元の目標との関係性を考慮しましょう.
単元目標のどの部分の達成を目指した授業であるのかを踏まえた上で,本時の目標を立てられるといいですね.

続いて,内容と方法を記しましょう.
ここで注意することは「誰の活動なのか」という点です.
例えば,「運動する」「〜について理解する」という活動は学習者の活動ですよね.一方で「〜させる」「指導する」「注意する」といった活動は教師が行うものです.

上でも述べていますが,授業には学習者と教師という2つの役割の人間が登場します.
したがって,主語と述語が混同してしまうことがあります.十分に注意しましょう.
※主語と述語のことは『レポートの作成』でも言及しましたね.

また,「方法」を明確に書くことも重要です.
方法とは,「学習」および「指導」の手続きや手順のことです.
授業を進める上で,例えば「〜について話し合う」などといった言葉が登場します.
そうすると,「どうやって話し合うのか」とう疑問が湧いてきます.誰と話し合うのか?討論なのか?ブレインストーミングなのか?どの程度の時間話し合うのか?話し合った後は何をするのか?などです.
授業を作っている人の頭の中にはあるのかもしれませんが,それをアウトプットしていなかったら無いのと同じです.
同様に「ゲームを行う」「練習する」「チームを組む」など,しっかり手順を明記しましょう!

評価も大切です.
これは目標と同様に,単元計画の評価規準を踏まえて,本時ではどのようなことができるようになっていればいいか,どのような成果を獲得していてほしいのかを明確にしましょう.

 

Chapter4.教具の準備と場の設定,板書と掲示物

最後に授業での学びを一層促すための工夫を検討します.

ひとつめは教具です.
教具とは授業の中で用いられる物質的なもので,学びを促すために存在ます.
授業の目標によりフォーカスできるように,どのような道具を使うのかを検討します.
そのためには,本来,競技の中で使われない道具も使うことになります.
例えば,僕は柔道の授業の中でGボールやフラフープ,ストレッチポールなどを使います.工夫の仕方は無限大です!検討してみましょう!

ふたつめは場の設定です.
これは授業をどこでやるのか,という単純なことも含まれますが,目標をより達成するために学習場所全体をコーディネートすることも含みます.
例えば,中学生にサッカーのフルのピッチは広すぎます.もっと小さくしてもいいはずです.
またピッチの両端にゴールがある必要性も無いかもしれません.状況に応じてバスケットボールの3x3のような設えでも問題ないと思います.
ここでも工夫は大切です!

最後に板書と掲示物です.
板書と掲示物は学習者に視覚的な情報を与えてくれます.
単なる文字情報だけでなく,写真を活用したり,”めくり”をうまく使って発問をおこなったりすることもできます.

 

Conclusion

非常にあっさりではありますが,指導案づくりで気をつけてほしいことを整理しました.
これを参考にして,学生独特の,豊かな発想に基づく独創的な指導案を期待しています!

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